【年金お役立ち情報(3)】 国民年金・厚生年金には何歳まで加入するのか?

久しぶりの更新となりました。
第3回のテーマは、国民年金・厚生年金には何歳まで(いつまで)加入するのかについてです。Q&A形式で解説します。

現在、国民年金保険料を納めていますが、何歳まで納めるのですか?

国民年金保険料は60歳まで納めます。
詳しくは、以下のとおりです。

誕生日が2日から末日の場合

国民年金保険料は、60歳の誕生月の前月分まで納めます(60歳の誕生月の前月までが国民年金第1号被保険者です)。

例:令和6年9月2日が60歳の誕生日の場合
  令和6年8月分まで国民年金保険料を納めます。

誕生日が1日の場合

国民年金保険料は、60歳の誕生月の前々月分まで納めます(60歳の誕生月の前々月までが国民年金1号被保険者です)。

例:令和6年9月1日が60歳の誕生日の場合
  令和6年7月分まで国民年金保険料を納めます。

【解説】
年金制度では、60歳の誕生日の前日が60歳到達日となります。国民年金第1号被保険者の場合は60歳到達日に被保険者の資格を喪失します。
資格を喪失した日の属する月の前月までが国民年金第1号被保険者としての被保険者期間となります。
言い換えると、60歳到達日の属する月以後は国民年金第1号被保険者にはなれません。

厚生年金に加入していましたが、退職しました。配偶者はいません。退職月の翌月に60歳になります。退職後、国民年金への切り替えの手続きは必要ですか?

退職日と60歳の誕生日の組み合わせにより、手続きが必要な場合もあれば、不要の場合もあります。

退職日が月の末日以外の場合

以下の表のとおりです。

60歳の誕生日国民年金への切り替えの手続き
退職月の翌月1日不要
退職月の翌月2日から末日必要(国民年金の被保険者となるのは退職月のみ)

【解説】
①の例:厚生年金被保険者が令和6年8月20日付けで退職、令和6年9月1日が60歳の誕生日の場合
まず、退職により厚生年金被保険者の資格を喪失するのは退職日の翌日のため、令和6年8月21日が厚生年金被保険者としての資格喪失日です。厚生年金の被保険者期間は資格喪失した月の前月までなので、令和6年7月までが厚生年金被保険者となります。
次に、令和6年8月以降、国民年金第1号被保険者となるか考えます。
令和6年9月1日が60歳の誕生日の場合は令和6年8月31日が60歳到達日です。60歳到達日の属する月(ここでは令和6年8月)以後は国民年金第1号被保険者にはなれません。よって、退職後、国民年金への切り替えは不要です。

②の例:厚生年金被保険者が令和6年8月20日付けで退職、令和6年9月2日が60歳の誕生日の場合
厚生年金については上記①と同じです。
令和6年9月2日が60歳の誕生日の場合は令和6年9月1日が60歳到達日です。60歳到達日の前月である令和6年8月は国民年金第1号被保険者として国民年金保険料の納付が必要です(60歳到達日の属する月である令和6年9月以降は国民年金第1号被保険者になれません)。よって、退職後は国民年金への切り替えの手続きが必要です。

退職日が月の末日の場合

以下の表のとおりです。

60歳の誕生日国民年金への切り替えの手続き
退職月の翌月1日不要
退職月の翌月2日から末日不要

【解説】
③の例:厚生年金被保険者が令和6年8月31日付けで退職、令和6年9月1日が60歳の誕生日の場合
まず、退職により厚生年金被保険者の資格を喪失するのは退職日の翌日のため、令和6年9月1日が厚生年金被保険者としての資格喪失日です。厚生年金の被保険者期間は資格喪失した月の前月までなので、令和6年8月までが厚生年金被保険者となります。
次に、令和6年9月以降、国民年金第1号被保険者となるか考えます。
令和6年9月1日が60歳の誕生日の場合は令和6年8月31日が60歳到達日です。60歳到達日の属する月(ここでは令和6年8月)以後は国民年金第1号被保険者にはなれません。よって、退職後、国民年金への切り替えは不要です。

④の例:厚生年金被保険者が令和6年8月31日付けで退職、令和6年9月2日が60歳の誕生日の場合
厚生年金については上記③と同じです。
令和6年9月2日が60歳の誕生日の場合は令和6年9月1日が60歳到達日です。60歳到達日の属する月(ここでは令和6年9月)以後は国民年金第1号被保険者にはなれません。よって、退職後、国民年金への切り替えは不要です。

60歳を過ぎてから再就職し、厚生年金に加入しました。厚生年金には何歳まで加入するのですか?

厚生年金には70歳まで加入します。
もっと詳しく書くと、誕生日が2日から末日の場合は70歳の誕生月の前月まで、誕生日が1日の場合は70歳の誕生月の前々月までが厚生年金の被保険者期間となります。
70歳到達日よりも前に退職した場合は、退職日の翌日が属する月の前月までが厚生年金の被保険者期間です。
なお、厚生年金保険料は給与・賞与から天引きされます。